東大卒英語講師が『一億人の英文法』を正直レビュー|使い方の注意点と初心者にはお勧めしない理由

英語学習者なら一度は耳にしたことがあるであろう『一億人の英文法』(著:大西泰斗氏、ポール・マクベイ氏)。

そのわかりやすさと、ネイティブ感覚を重視した文法解説で、多くの支持を集めるベストセラー文法書です。

本記事では、英検1級、TOEIC960点を取得している筆者が、その特徴から活用法、他の文法書との比較まで、実際に使った筆者の視点も交えて徹底解説します。

『一億人の英文法』の基本情報

『一億人の英文法』は、旺文社から出版されている約700ページ弱の英文法書です。

最大の特徴は、いわゆる「学校文法」ではなく、「話すための英文法」に重きを置いている点です。

文法用語の羅列ではなく、ネイティブスピーカーの感覚に基づいた解説がなされており、従来の英文法書に物足りなさを感じていた学習者にも響く内容となっています。

また、全体を通して「感覚でわかる英語」「イメージで理解する英文法」を重視しており、英会話力の向上を目指す学習者にとって非常に有用です。

辞書的な使い方が最もおすすめ

本書はその構成上、最初から順に通読するというよりも、辞書のように「調べたいところを引く」使い方が最適です。

というのも、700ページにおよぶボリュームは通読にはやや重く、集中力と時間が求められるため、初心者にとっては負担になりやすいからです。

例えば、会話で「by」と「until」の違いが気になったときなどに、該当ページを開いて参照すると、理屈だけでなく感覚的な理解も得られます。

ネイティブの感覚を重視した解説

本書の最大の魅力は、「ネイティブならこう感じている」という視点に立った解説です。

たとえば、“will”は未来を表す助動詞とだけ覚えていると、実際の会話で出てくる「意志」や「決意」を含んだニュアンスが理解しにくくなります。

『一億人の英文法』では、“will”が持つイメージ(たとえば「心の中での未来の確定」)を図解や例文を交えて丁寧に説明しており、学校では教えてくれない英語の本質に触れることができます。

このような説明は、ネイティブとの自然な会話を目指す学習者にとって極めて価値があります。

文法を単なるルールとしてでなく、言語感覚として習得するための手助けになるでしょう。

演習がない=アウトプットが必要

ただし注意点として、本書には練習問題が一切含まれていません。

あくまで「読む」「理解する」ことに特化した参考書であるため、知識を「定着させる」には別途問題集を用意する必要があります。

たとえば、『TOEIC文法問題 でる1000問』などの問題集と組み合わせて使うことで、インプットした知識を実践的にアウトプットできます。

読みっぱなしにしてしまうと、「わかったつもり」で終わってしまうため要注意です。

『真・英文法大全』との比較

『一億人の英文法』はよく『真・英文法大全』と比較されます。

筆者個人としては、『真・英文法大全』の方がレイアウト面で読みやすく、学習目的に応じて情報を取捨選択しやすいと感じています。

たとえば、『真・英文法大全』には例文に「日常会話向け」「ビジネス英語向け」といったアイコン表示があり、今の自分に必要な例文や解説を直感的に選べます。

一方で『一億人の英文法』にはそうした視覚的な配慮が少なく、『真・英文法大全』と比べて情報が一続きで並んでいる印象です。

そのため、目的に合った情報を選び取るには慣れが必要であり、場合によっては負担に感じるかもしれません。

初心者には不向き?

700ページというボリュームや、文法用語・ニュアンスに関する高度な解説を考慮すると、英語初心者にとってはやや敷居が高い一冊と言えます。

英語をゼロから学び始める方には、『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』や『高校英文法をひとつひとつわかりやすく。』といった、薄めの本の方が挫折しにくいでしょう。

一方で、ある程度の基礎文法を身につけた中級者以上であれば、『一億人の英文法』を辞書的に参照することで、理解の幅と深さを一気に高めることが可能です。

『一億人の英文法』はこんな人におすすめ

  • 英語中級者以上で、話すための文法を学びたい人
  • ネイティブの感覚やニュアンスに興味がある人
  • 文法書を通読するよりも、必要なところを深く掘り下げたい
  • 問題演習を別でこなせる人

逆に以下のような方にはあまり向いていません。

  • 英語初心者(まずは薄い文法書を)
  • 演習まで1冊で完結させたい人

まとめ:読み物ではなく“調べるためのツール”として活用を

『一億人の英文法』は、通読する読み物ではなく、「疑問が出たらすぐに開く調べるためのツール」として活用することで、その真価を発揮する英文法書です。

内容は非常に優れており、英語力を一段階引き上げたいと願う中級者以上の学習者にとって、頼もしい味方になるはずです。

ただし、演習がない点や、勉強目的に応じた取捨選択がしにくい点は注意が必要です。自身の学習スタイルやレベルをふまえて、適切に取り入れていきましょう。

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投稿者プロフィール

川端 啓豊
川端 啓豊
東京大学法学部卒。大学卒業後、自動車メーカーにて勤務し、働きながら公認会計士試験に一発合格(合格者のうち、上位3%合格)。
現在は監査法人にて会計監査・IT監査に従事するとともに、海外経験なしで英語を習得した経験を生かして英語教育業に携わっています。
保有資格:公認会計士、英検1級、TOEIC960点